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【2007/10/01 03:35】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ピンヒールとスニーカー 7
 先生はたまにお酒を飲む。
 それは先生が何かあったときだ。嬉しい時も苛々した時も。

 例えば先生がお酒の匂いをさせながら僕に抱きつく時、先生は弱っているなあと思う。
 多分学校で教頭から小言でも言われたんだろう。

 僕は学校が終わると私服に着替えて、先生のうちで待っていることがある。
 シロと遊んだり、DVDを見るか、勉強しながら待つ。先生は「勉強、よく飽きないわねえ。」と言うけれど、僕は飽きるということさえ、まだわからない。

 先生はたまに、知らない外車に乗ってくる。僕が気付かないとでも思っているみたいだけど、僕は全部わかっている。僕は僕のことを割と大人だと思う。

 「ただいまー。」
 今日も酔っ払った子供が帰ってきた。
 「おかえりー。うわ、飲んでる。」
 僕は笑う。

 「ねえ、マコト君、一緒にお風呂はいろーよ。」
 「入らないよ。」
 僕はまたくすくす笑う。

 「入ろうよ。」
 「入らないよ。」
 「なんで?」
 「だって俺一人で入りたいもん。」
 「もーー。入ろうよ。」
 「入らないって。はは。」


 しなだれかかる先生のウエストは意外と細い。

 あなたが何も知らないとしても、あなたのことが好きですよ。
 酔っ払ってても。
 きっと辛いことがあったんだろうなって、それ位はわかります。

 ウエストを抱いたら、先生が、
 「えっち。」
 と言ってくすくす笑った。
 ウルトラパンチ。
 
 先生、例えば、先生が僕のことを嫌いになったとしても。僕はずっと先生が好きです。だから泣かないでください。あんまりお酒飲まないで。

 そう僕は言いたいのだけれど、なんだか酔っ払った先生が意外と可愛いから、黙って頭を撫でてやった。

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【2007/10/01 03:31】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(1) |
ピンヒールとスニーカー 6
 彼にキスをして思う。
 彼は私のことを知っているのかしらと。
 私のことをただの年上の綺麗な人と思ってないかしらと。

 なんで彼に手を出してしまったんだろうってたまに後悔する。

 昔から冷静なのにどこか日常を飛び出したくて仕方なかった。
 行動的、バイタリティがある、そう言われればそれまでだが、失敗だってしてきた。
 
 17歳のとき、はじめて行ったインディーズのロックバンドのライブで骨抜きになってしまったことを思い出す。あのとき、強烈に年上の男の人が眩しかった。


 ライブが始まった途端、舞台に釘付けになった。
 観に行ったのは売れないロックバンドだったけど、なんだかスポットライトを浴びて叫ぶ彼がものすごくかっこよくて、この人は自分が生きている世界と違う世界に連れて行ってくれる神様だと一瞬にして思い込んでしまった。精一杯の甘えと色仕掛けで関係者に媚びて控え室に潜り込み、握手を交わした。

ドキドキしながらも、嬉しくてしょうがなく、
「名前なんて言うの?」
と言うヴォーカルに
「京子です。サインは京子へって書いてください。」

と緊張でにらみながら、CDを差し出した。

「そう睨むなよ。落ち着いて。」
と、彼は自分が美男子だがそれがどうかしたかというような笑い方をしてガムをくれた。

 家に帰る途中、くれたガムの包み紙に彼の携帯番号とホテルの部屋番号が書いてあったときは寒気がした。友達を置いて、タクシーで直行し、いけない夜を過ごした。

 ベッドに入る前、20歳だと嘘をついた。恋人になれるなんて思っていなかったけど、一瞬で惚れた彼に抱いてもらうためなら何だってしてしまうような、そんな女の子だったのだ。

 ヴォーカルには奥さんと子供がいたけれども、たまに連絡をくれて、二人で会った。彼女になれるなんて思ってなかったし、彼も彼女にしようなんて思ってなかっただろう。

 10歳年上のヴォーカルが30歳になったとき、私は本当に20歳になり、その瞬間なんだか全てが色褪せた。飽きてしまった。彼は神様からいつの間にか売れない古ぼけたミュージシャンに見えてきたし、いつまでも夢を追いかけている彼を空しくも感じ始めた。遊び相手にしたって私は20歳の大学生で、言い寄ってくるお金持ちで頭のいい男の子が沢山いた。

 私が過ごしてきた恋愛は様々だけれども、今この子を抱き締めている場合じゃないことをよくわかっている。でも止められない。
 ”いっちゃだめ。”と言う自分が背中を押すのは何故だろう。してはいけない恋ばかりしてきたし、やっと掴んだと思った普通の恋人は私を結婚相手としては評価してくれなかった。

 昔は長い巻き髪をしていたのに、失恋するたびに髪を切りいつのまにかボブになってしまった。今年、25歳。

 唇を離したマコト君が耳元で小さく、
 「先生、俺、先生のことが好きです。」
 と言った。
 
 だからってどうすることも出来ないのだけれど、なんだか泣きそうになってしまい、額を彼の右肩に当てた。包み込んだ手は大きくて、15歳だとは思わせなかった。

 ”やめなければいけない”そうもう一人の自分は叫んでいるのに、どうしようもなく、その手を必要としている自分がいることも確かだった。

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【2007/09/28 03:20】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ピンヒールとスニーカー 5(五十嵐 椋 作)
「本当に綺麗な人」
シロを膝に乗せながらテレビを見つめる先生を見て、ふと思う。
少し前髪が長い、見ていることは気付かれにくいだろう。好都合だ。
もし先生が「切ってあげようか?」なんて言おうものなら、なんのためらいもなくお願いするのだが。


「なぜシロをいつも膝に乗せるのか?」
多少の嫉妬とともに疑問が頭をよぎる。
本当は膝枕をしてほしい。甘い声で話しかけてほしい。だが先生の前では決して言わない。
言ったところで冗談扱いされて終わるか、あのいつもの笑顔で少しからかわれ、また僕の心が奪われていくだけだろう。

「I have a dry throat.Please give me something to drink.」
わざと英語で話しかけてみる。この前先生が授業をしていた、不定詞を意識して使う。
先生はこっちを向いてニコッと笑い、シロを降ろす。
冷蔵庫に向かう先生の足はとても綺麗で、さらにシロに嫉妬する。

「勉強したいの?」いたずらに笑う先生が、ジュースを持って戻ってくる。
少し乾いたのどを潤しながら、驚く。グレープフルーツ100%。

「なんでジュースがあるの?しかも俺の1番好きなやつだし。先生が好きなのはミネラルウォーターだろ?」
「さあ、なんでだろうね〜?1年くらい前のかもよ。」
こんな冗談を言う彼女が、とても愛しい。
「なんだよーそれ、飲めんのかよ?」
と、素直になれない自分。若干の照れた感じは、先生にバレただろうか?

きっと先生にはそんなことお見通しだったのだろう。

いきなり僕の唇をふさいできたのだから
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【2007/09/28 02:47】 | 未分類 | トラックバック(0) | コメント(0) |
ピンヒールとスニーカー 4
 マコト君は身長が180センチある。まだ15歳なのに。
 たまに手足が長くて邪魔そう。髪の毛も。
 前髪、伸びたな。

 「先生、何?」
 じっと見ていると振り返られる。
 「なんでもないよ。前髪伸びたよね。」
 「そういや最近英語の成績いいじゃん。」
 振り返られた瞬間、横顔のえらが自分好みであることに気付いて私は呆れる。
 目の前の9歳年下の男の子を愛してしまいそうになっていることに。
 成長した体をもてあましている彼に。
 とっさに学校の話題を出した自分に。

 「なんだよー、覚えてないの。」
 「何を?」
 「えー」
 「先生、入学式で話しかけてくれたじゃん。」
 「あれー、そうだっけ。」
 「うん。」
 「何?」
 もじもじしてて言わない。
 可愛いな。あーやばいやばい。
 「先生が”英語得意?”って1学期の頃訊いたじゃん。俺”うん。”って答えたから、それから猛勉強だよ。」
 「そんなこと覚えてんの?馬鹿じゃん。」
 答えながらちょっと笑ってしまっている自分に気付く。

 頭をくしゃくしゃ撫でるとちょっと嬉しそうに恥ずかしそうに照れくさそうに笑った。

 伸びた前髪を切ってあげたいなあと思うけれど、切ってしまうと好きになってしまうから、と私は私を制する。

 チワワに膝に乗せているのは、君との距離をちゃんと取る為でもあることに、あなたは気付いているのかしら。可愛く脈打つシロのりんご型の頭をなでながら、ぼんやりとテレビに目をやるこの瞬間が好きだ。

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【2007/09/26 19:23】 | 未分類 | トラックバック(1) | コメント(0) |
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とけて、とろける


24歳オンナノコが書く小説をアップしていきます★ 15歳オトコノコがサポーター★

プロフィール

五十嵐ミホ 五十嵐椋

Author:五十嵐ミホ 五十嵐椋
 五十嵐ミホ 24歳 女の子
 五十嵐椋  15歳 男の子

 現在 創作小説「ピンヒールとスニーカー」連載中。
 お互いの視点を活かし、意見交換しつつ頑張っております★

★★★★★★★

 世界に一杯いるオンナノコとオトコノコ。
 それらが出会い、そして交わって僕らは生まれているわけです。

 日常の中にある非日常がオアシスなんだとしたら、誰かのオアシスを提供したい方針で。

 ネッ友であり弟分、15歳の椋君がたまに出てくるかもしれません。

 愛おしい彼を剣山の上に正座させ小一時間問い詰めたいと思ってしまう月曜の午後にこのブログ誕生。

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